どちらとの恋を選びますか?【後編】~元彼御曹司のとろ甘愛に溶かされて
【夏目君との間に引かれた一線】
 明くる日は、朝起きてから、ずっと緊張が収まらないまま、席に着いてパソコンを起ち上げた。

 「おはよう、春風」
 その声にドキッとした。
 「お、おはよう、夏目君」

 悪い事をしているわけじゃないけど、どこか後ろめたい気持ちなる。
 でも…言わないと…

 「ねぇ夏目君。今日、帰りに話があるんだ。時間、いいかなぁ」
 「…うん、分かった」

 席に戻って仕事をし始めると、後ろの席の夏目君が、
 「…春風、ちょっといいか」
 押し殺すような声がしたかと思うと、会議室の方に向かっていた。

 後を追いかけて、ドアを閉めると、夏目君は私を見て、一呼吸おいてから話し出した。

 「その首、どうした?」
 「あっ、こ、これ?ちょっとひっかいちゃって」
 キスマークを隠すため、首筋に貼った絆創膏を、顔を引き攣らせたまま、手でさすった。

 「そこじゃない。後ろの方だ」
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