どちらとの恋を選びますか？【後編】～元彼御曹司のとろ甘愛に溶かされて

　そんな事を考えながら、電車を降りて、マンションの前に着いた時、
　「咲羅！」
　声がする先を見ると、走って来たのか、息を切らした陽先輩が立っていた。

　「陽先輩…」
　「ハァハァ…さっき、垣谷から咲羅に会って、昔の事、話したって連絡があって…」

　何も告げずに私の傍からいなくなった理由…
　私を愛していたから…
　垣谷先輩から聞いた真実…

　「…はい、聞きました」

　肩で息をする陽先輩は、呼吸を整えて、私を見据えた。

　「咲羅…今は冬月商事の俺じゃ無く、1人の男として接して欲しい…」
　「…うん…聞いたよ…」
　
　冬月部長から、陽先輩として接すると私…
　取引先の部長として、フィルターを掛けているのは、私のためだったのに…

　「彼に…夏目さんに、もう答えを出したのか？」
　「それは…まだだよ。でも、いつも私の傍にいてくれて、一緒に悩んで、笑って、そして、助けてくれてるなって、今考えていて…」

　私は、精一杯繕って、
　「陽先輩、私も捨てたものじゃないでしょ」
　笑顔を向けて、陽先輩に答えた。