どちらとの恋を選びますか?【後編】~元彼御曹司のとろ甘愛に溶かされて
 「…触れて…欲しくて」
 その言葉に、陽は私の頬を撫でる。

 「それだけ?」
 「…抱きしめて欲しくて」
 「そうか」
 そして、そっと抱きしめてくれた。

 「後は?」
 「…これだけで、幸せ」
 「そう…じゃあ、明日仕事だし、もう寝ようか」

 先にベッドに向かう陽の後ろ姿に、嬉しさと寂しさの感情が混ざる。

 陽は私の手を握り、べッドに横になると、「おやすみ」と囁いて、目を瞑った。

 温もりを感じて、嬉しい…

 でも、本当は…
 この大きな手で、もっと触れて欲しかった…

 翻弄させるほどの、甘いキスをして欲しかった…

 溺れるほどに…愛されたかった…

 目尻から一筋の涙がつたう。
 これ以上、陽の寝顔を見ていると、寂しくて泣いてしまいそうで、目を閉じた。
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