どちらとの恋を選びますか?【後編】~元彼御曹司のとろ甘愛に溶かされて
 「咲羅…大切にしてくれて嬉しいよ。でも…」
 陽は眉をひそめて、その時計をじっと見つめていた。

 「これは持っていかない。置いていく」
 「えっ…どうして?」
 あの頃の2人の想い出で、唯一、形に残ってる物なのに…

 「咲羅を泣かした頃の俺を、俺自身、許せないんだ」
 「でも、これは初めて陽に貰った」
 「新しい2人の時は動き出した。この時計はそれまでに、繋ぎ止めてくれたものだ。もう、役目は終わった」

 陽がその言葉を言った瞬間…
 
 不思議なことに、時計の針は同じ場所を指したまま、動かなくなった。
 電池は換えたばかりなのに…

 「嘘でしょ…こんなこと」
 「俺の気持ちがこもった時計だからな。きっと、そうしろってことさ」
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