どちらとの恋を選びますか?【後編】~元彼御曹司のとろ甘愛に溶かされて
 陽は驚く様子も無く、
 「この荷物、車に載せてくるよ」
 大きめのスーツケースとバッグを運ぶために、外に出て行った。

 私は、不思議な出来事に驚きつつも、
 「ずっと時を刻んでくれて、ありがとう」
 時計を壁から外し、持っていかない荷物の上に置いた。

 必要な物だけ纏めると、仕事と寝るだけの生活は、服と小物だけで、持って行く荷物は少なかった。

 「残ってる物は、俺の取引先の会社に引き取ってもらうよ」
 陽が最後のバッグを持って、玄関で待っている。

 名残惜しくて、時計を見ていると、
 「咲羅…これから沢山の想い出が出来るから。行くよ」
 「う、うん」

 私は玄関に向かい、腕を伸ばす陽の手を握り、思い出の詰まった家のドアを閉めた。
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