どちらとの恋を選びますか?【後編】~元彼御曹司のとろ甘愛に溶かされて
 陽と同居してから1ヶ月が経ち、2人の生活にも慣れてきた。

 「陽、専務になったら、仕事、大変でしょ?」
 「今までと変わらないけど、やっぱり現場の方が楽しいね」
 専務になっても、家では変わりない陽。
 どんなに疲れていても、毎日、甘えさせてくれて、ドキドキしている。

 仕事も順調で、夏目君が一緒に行けない時は、1人で対応している。

 今日は、久しぶりに夏目君と顧客先に訪れることになった。
 「また、車道側歩いてる」
 そう言って、自分が車道側を歩くように、変わった。

 「もう、俺がこうやって、春風に小言を言う事も無くなるな…」
 夏目君が哀愁漂う顔つきで、ため息をつくように声を出した。

 「えっ?どういう事?」
 「あのさ、前からずっと話は出てたんだけど、本格的に社長の仕事を手伝う事になってさ」
 そして、夏目君が立ち止まった。

 「今度の会議で、社長付になることに決まったんだ」
 「そうしたら…もう一緒に」
 「そうなんだ…約束破ってごめん。ペアは解消だ」

 夏目君の笑顔には、相当のプレッシャーを背負っているのを感じる…

 だって…
 陽の傍にいると、よく分かるから…

 本当なら、段階的にキャリアを積んでいくのを、人の何倍もの努力をしているんだろうなって。
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