どちらとの恋を選びますか?【後編】~元彼御曹司のとろ甘愛に溶かされて
 「私、そろそろ、後輩を育てたいと思っていたの」
 「春風…」
 「田中君が今1人だから、私が一緒に組むよ」
 「分かった。チームリーダーには俺から伝えるよ」

 少しでも夏目君が、安心出来るなら…

 「夏目君は、これから、この会社を守る人になるんだから。大変だと思うけど、私は仕事で支えていくよ」
 「ありがとう。春風と一緒に過ごした日々は、俺に取っては大切な経験だった」
 「私も。夏目君だから、一緒に成長出来たから」

 いつか陽の傍で、仕事をすることになれば…
 もう、夏目君と一緒に、仕事をすることは無いんだろうな。
 それまでに、私の出来る限りの事をしたい。

 夏目君は、何か言いかけた言葉を呑み、
 「頼んだよ。春風」
 満面な笑みを見せた後、前を向いて歩き出した。

 夏目君とは、沢山の企業を一緒に訪問したな…
 もう、外出するのも、これが最後なんだ…

 私は夏目君を追いかけて、歩道側を歩き、会社までの道のりを惜しむように、何気ない会話を2人で楽しんだ。
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