どちらとの恋を選びますか?【後編】~元彼御曹司のとろ甘愛に溶かされて
 自分を責めるような、陽先輩の苦しそうな表情と声に、ふと、優しい陽先輩ならと頭によぎった。

 「もしかして…私を諦めさせるために、あんな事を…」
 「言い出せなかった…それなら、一層の事、俺を嫌いになった方がいいと思ったんだ」

 忘れていた過去。
 突然の裏切りに、陽先輩を憎んだ。
 でも…やっぱり嫌いになれなかった。

 凄く優しくて、いつも包み込んでくれる愛も知っていたから…

 「でも、諦められなくて。咲羅が卒業した頃、俺も落ち着いて、会いに家に向かったんだ。でも、そこにはもう居なかった。携帯も繋がらなかった」

 引っ越し先は、誰にも言わなかったから…
 そして、就職を機に、携帯番号も変えたんだ…

 「探したよ、ずっと…でも何も分からなくて、諦めたんだ。未熟だった俺自身を恨んだよ」
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