どちらとの恋を選びますか?【後編】~元彼御曹司のとろ甘愛に溶かされて
 あれから夏目君とは、会社でも、あまり顔を合わせることが無くなった。

 時々、社長室の傍を通ると、中から出て来た夏目君が私に気付き、片手を挙げて、話す事無くどこかに行った。

 きっと、大変なんだろうな。
 私は、今、目の前の事をこなさないと。

 会社を出て、『今から帰るね』と陽にメッセージを送ると、『気を付けて』と返信が来た。

 早く会いたい気持ちで、急いで駅に向かっていると、夏目君によく似た人が、広場のベンチで座ってるのが、視野に入った。

 まさか、こんな所にいるはずないか…

 でも、気になって立ち止まって見ると、やっぱり夏目君だ…
 遠くを一点見つめて、微動だにしない。

 何か…あったのかなぁ…
 気になって、夏目君に近づいた。

 「夏目君、どうしたの?」
 「春風…」
< 53 / 109 >

この作品をシェア

pagetop