どちらとの恋を選びますか?【後編】~元彼御曹司のとろ甘愛に溶かされて
 夏目君は目を潤ませながら、私を見ると、直ぐに視線を外した。

 今まで、どんなことがあっても、弱音を吐かずに私を元気づけてくれていた夏目君の、弱々しい姿…

 「ごめん、こんな姿見せて…」
 「ううん…私に話、出来る?言えない事なの?」
 「いや…家庭の事情でさ」

 じっと前を見る夏目君を放っておけなくて、横に掛かっていた上着を抱えて、隣に座った。

 「家庭の事情って、後を継ぐ話のこと?」
 「この会社を守っていく事が、本当に俺の役目なのかなって、思うようになってさ」
 「どうしたの?ここまで頑張ってきたのに」

最近は、忙しそうな夏目君に声を掛けたくても、難しそうな顔をしてると、名前を呼ぶ事が出来なかった。

 少し間が空いてから、躊躇しながらも、話し出してくれた。
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