どちらとの恋を選びますか?【後編】~元彼御曹司のとろ甘愛に溶かされて
 夏目君は立ち上がって、「ありがとう」と、私が持っていた上着を取った。

 「ごめんな、俺の家の事で、愚痴まで聞いてもらって」
 「私で良かったら、いつでも聞くから」

 夏目君は一瞬、寂しそうな表情を浮かべたけど、直ぐに笑顔を見せた。

 「帰ろうか。冬月専務も心配しているだろうから」
 「…うん」

 広場を出てから、2人は言葉を交わすこと無く歩き、駅に着いた。

 「降りる駅が反対方向になったから、一緒に電車に乗れないけど、気を付けて帰れよ」
 「う、うん…夏目君もね」
 「また、明日な」

 いつも改札を通って、2人で電車に乗ったけど…
 今は、背中を向けて歩き出す。

 これが、私の選んだ道…
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