どちらとの恋を選びますか?【後編】~元彼御曹司のとろ甘愛に溶かされて
 「この香り…こんなに香りが残るほど…彼に抱きしめられたのか?」
 「ち、違うの、上着を持っていただけで…」
 「それで?」
 「あの、陽、勘違いしてるから。事情を話すから、ねっ」
 「じゃあ、どうして隠そうとしたんだ?」
 「それは…」
 「夏目さんの香りに、俺が気づけば怒る…そう思ったから?」
 「…うん」
 「正解だな」

 冷たい目線と、怒りを押し殺した静かな声に迫られ、体が固まる。

 「本当に…何もないから」
 「そんな事は分かってる。でも、男の匂いを付けて帰って来たことは、許さない」

 じりじりとベッドまで追い込まれて、もう逃げられない。

 「俺は今、嫉妬で狂いそうだよ」
 熱い瞳に見つめられて、思わず、目を逸らした。

 「目を逸らすってことは、やっぱり何かあった?」
 「そ、それは絶対ない。だから、話を」
 「目が赤いのも、涙を流したからだろ?」
 「それは…」
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