どちらとの恋を選びますか?【後編】~元彼御曹司のとろ甘愛に溶かされて
 突然の話に、ただびっくりしたのと、涙が自然と流れ出した。
 ずっと傍にいる。その延長に結婚は意識してたけど…

 そうだよね。陽は、冬月商事の御曹司。世界でも通用する企業の後継者だ。
 私なんて…釣り合うはず、ないもんね。

 現実を突きつけられ、胸が締め付けられた。

 「ごめんね。私、出て行くから」
 「何言ってるんだ?見合いは断ったから」
 「でも、私じゃやっぱり…」
 「家柄か?俺がそんなこと考えて、咲羅を追いかけて、一緒に住んでいると、思ってるのか?」
 「それは…」
 「俺が愛した人と結婚する。咲羅?その意味は分かるな」
 陽は、静かに微笑みながら、私の頬を撫でて涙を拭う。

 「俺の妻になるのは、咲羅だけだ。絶対、俺の傍から離れるなよ」
 「陽…」
 抱きしめられる腕の中で、涙が止まらない。

 「明日、父さんに紹介するから、仕事が終わる頃、車で迎えに行くよ」

 私の肩を持って、体を離すと、
 「そんな不安そうな顔するな。俺は咲羅が傍に居ない人生は、考えていない」
 優しく微笑む陽は、その言葉を聞いても、不安が取り除けない私の手を握る。
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