どちらとの恋を選びますか?【後編】~元彼御曹司のとろ甘愛に溶かされて
 本当は、陽も分かっているはず…
 何を選ばないといけないか…
 夏目君のことを話した時に言っていた、会社を継ぐという重圧。

 そのために、陽は私と別れ、その後も必死で会社のために、頑張って来たんだから。
 今は、怒りで誰の言葉も耳に入らないだけ。

 離れたくない。別れたくない。
 それは、私のわがまま…

 例え政略結婚でも、社長が言った相手の方なら、きっと陽も幸せになれる。

 私から…身を引かないと。
 考えちゃいけない。考えると涙が溢れてくる。
 陽のために私が出来る事しないと…

 会社を出ると、陽はタクシーを止め、私を中に入れると、家の住所を運転手に伝えた。
 「咲羅、少し遅くなるけど、夕食は家で食べるから」
 「うん…先に帰って、待ってるね」

 陽が帰る前に、荷物を纏めないと…

 家に着くと、急いでスーツケースとバッグに荷物をまとめて、玄関の収納スペースに隠した。

 そろそろ、夕飯の支度をしないと…
 どんな料理も「美味しいよ」と、全部食べてくれる。
 2人で作った時は、陽が教えてくれる事もあった。
 この夕食が…最後の食卓…

 そして、帰って来た陽は、私を見て、難しい顔つきから笑顔に変わり、
 「今日は何作ったの?」
 そう言いながら、キッチンに入って行った。
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