どちらとの恋を選びますか?【後編】~同期は独占欲強めな溺甘御曹司でした
 もし、電車を降りて、そのまま家に帰っていたら、陽先輩に会っていた。
 そしたら、私は…

 でも、私は涼を選んだ。
 あの時、電車を降りなかった事…それは、涼と結ばれる運命だったから…
 涼に愛されたことを思い出す。

 陽先輩はもう、過去の人。
 終わった過去を引きずらないって決めたんだ。
 そして…陽先輩とのけじめをつけないと…
 これからの自分のために。

 「…陽先輩、ずっとお礼が言いたくて」
 「お礼?」
 「再会してから、ずっとあの頃を思い出していたの。凄く幸せな時間だった」

 笑顔で言おうとしても、顔が引きつる。
 「陽先輩を好きでいたかった…でも、もう私にとっては…」

 泣きそう…
 でも、ここで泣いちゃダメだ。
 はっきり、気持ちを伝えないと…

 「私にとって陽先輩との事は、あの時に終わったんです」
 「まだ、終わってないだろ?俺は、咲羅の事が好きだ。これからまた始めたい」
 「私が傍にいて欲しかった時に、いつも隣には、違う人が居ました」

 その言葉を聞いた瞬間、陽先輩は私の思いを察したのか、悲しみの表情に変わった。

 「彼か…彼を選んだのか?」
 「陽先輩が私を思ってくれたのは分かってる。陽先輩の優しさだとも」
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