どちらとの恋を選びますか?【後編】~同期は独占欲強めな溺甘御曹司でした
 会社を出ると、我慢していた涙が溢れ、零れ落ちる。
 後悔とかじゃない。
 愛しているのは、涼だけ。
 でも…

 陽先輩の哀愁漂う顔を思い出すと、やっぱり切ない。

 その時、私の携帯にメッセージが入った。
 涼…

 『何か食べたい物ある?』
 私は涙を手で拭いながら、涼に返信をした。

 『涼の料理なら、何でも美味しいから迷うな…任せていい?』
 『俺に任せたら、食べたいのは、咲羅だけど?』

 涼…私も、涼に抱きしめられたい。今すぐにでも…
 『いいよ、それで』

 既読が付いて、少し間があった後、返信が来た。
 『期待してて。煽ったこと、後悔するなよ』

 早く涼に会いたい…

 私は、頬を両手で軽く叩くと、前を向いて歩き出した。
< 28 / 114 >

この作品をシェア

pagetop