どちらとの恋を選びますか?【後編】~同期は独占欲強めな溺甘御曹司でした
 社長が手にしていたのは、小指くらいの薄ピンク色の瓶だった。
 「今、新作の香水のサンプルを、お店で配ってましてね。是非試して下さい」
 「ありがとうございます!可愛いですね」
 「えぇ、デートの時にでも使って下さい」
 「は、はい、ありがとうございます」

 私はバッグに入れて、2人で部屋を出ると、会話すること無く、会社を出て、駅に向かって歩いていた。
 涼、何だか…怒ってるような…

 「咲羅、何故、社長の誘いに、直ぐに回答しなかった?」

 私を見ずに前を向きながら、凄く冷たくて、怒りを押し殺す声…
 「会社のことを考えたら、食事くらいなら良いかなって」
 「明らかに違う目的の接待だろ?」
 「…どうしていいか分からなくて」
 「会社のことを考えてくれたのは分かる。でも、自分を大切にしろ」
 「…うん、本当にごめんなさい」
 「どうしようかなぁ…胸のモヤモヤが収まらないんだけど」
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