どちらとの恋を選びますか?【後編】~同期は独占欲強めな溺甘御曹司でした
 「直帰します。後、お願いします」
 隣の先輩に声を掛け、涼が待つ車に乗り込んだ。

 秘書の人に聞いた病院につき、受付に声を掛けると、スーツを着た男性が迎えに来てくれた。

 「お仕事中に、申し訳ございません。社長の奥様が部屋の前で待っていますので、詳しくはそちらでお話します」

 何も分からないまま、ただ、不安に掻き立てられて、後を付いて行くと、清楚で上品な女性が立っていた。

 陽先輩の面影がある。きっとお母さんだ。
 「奥様、こちらが、春風さんです」
 「ご足労いただき、ありがとうございます。陽の母です」
 「春風です。大学の時に、陽先輩にはお世話になりました」
 「付き合って、いらっしゃったの?」
 「はい…少しの間ですが…」
 「そうでしたか。実は、検査の結果、特に異常は無かったのですが…」

 その言葉を聞いて、力が抜けそうなくらいホッとした。
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