どちらとの恋を選びますか?【後編】~同期は独占欲強めな溺甘御曹司でした
 「良かったです。安心しました」
 「ただ…一時的なショックで、ある部分だけ記憶が飛んでいるとお医者様に言われて」
 「えっ…」
 「春風さんのこと…咲羅を早く呼んでくれって、きっと心配してるからって…」
 その後、お母さんは言葉を詰まらせて、涙を流していた。

 「誰か分からなかったのですが、取引先の方に同姓同名の方がいると聞いて、もしかしてと思って、ご連絡しました」

 お母さんは涙を拭きながら、
 「私に、自分が愛する咲羅を紹介したいんだって…」
 ハンカチで目を何度も拭い、声を殺して泣いている。

 私と涼が見つめ合った。
 「あの、私はここに居る彼と、付き合っていまして」
 そう伝えると、お母さんは、2人の顔を見て、
 「ごめんなさい。それでも、会っていただけないでしょうか。今のままでは、可愛そうで…」
 申し訳無さそうに、深々と頭を下げた。
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