どちらとの恋を選びますか?【後編】~同期は独占欲強めな溺甘御曹司でした
 「すみません。陽のために、お二人に辛い思いをさせて」

 お母さんは申し訳なさそうに、涙を浮かべながら、私達に何度も謝っていた。

 「いえ…あの、明日は休みなので、午後にまた、来てもいいですか?」
 「はい、是非…ご迷惑をお掛けします」
 お母さんは深々と私達に頭を下げていた。

 車に乗って、涼を見ると、複雑な顔をしている。
 「涼…ごめんね、勝手な事言って。でも私、陽先輩を放っておけない」
 「咲羅…」
 「私を信じて。涼を愛してる。ただ、陽先輩のご両親の気持ちを考えると…」
 「だからって、咲羅が…」
 「このまま…記憶が戻らなければ、陽先輩は、ずっと私を待って…私を思い続けるんだよ」
 「それは…俺がキツい…」
 「私も…やっぱり、辛いの」

 涼は黙って、私を見つめていた。
 「分かった。明日も俺が病院まで送るよ」
 「うん…ありがとう」
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