どちらとの恋を選びますか?【後編】~同期は独占欲強めな溺甘御曹司でした
 「それからも、一緒に過ごした日々は、楽しかったね」
 「そうだね。本当に楽しかった」

 色々と話しているうちに、陽先輩との思い出が、目の前に浮かび、涙が溢れて来た。

 先輩の嬉しそうな笑顔。
 先輩の記憶が戻れば、この笑顔は見れなくなる。
 触れる事が無いと思っていた、私の大好きだった手の温もりも感じる事は無くなる。
 もう2度と…

 少し間を空けて、深呼吸をした後、話を続けた。

 「陽先輩の卒業式に、2人でおめでとうのお祝いをしようってなって…あの日の夜のこと、覚えてる?」
 「もちろん。2人でお祝いをした後、咲羅をたっぷりと愛したから。これが…最後…だと…」

陽先輩は言葉に詰まった後、涙ぐんで、私の頬を撫でていた手が、止まった。

 「俺は…咲羅を残して…出て…行ったんだ」
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