どちらとの恋を選びますか?【後編】~同期は独占欲強めな溺甘御曹司でした
 病院を出ると、外で待っていた涼が、駆け寄って来てくれた。

 「咲羅…」
 「陽先輩の記憶が戻ったんだ」
 「良かった…その涙は…安心した涙?それとも、本当はまだ…」
 「違う。違うんだけど…ごめん、涙が止まらないの…」
 「そう…家に帰ろうか」

 涼は、それから助手席で涙を流す私に、声を掛けること無く、ただ黙って、車を走らせた。

 家に着き、ようやく、涼との生活に引き戻された。
 「何か、飲み物用意するね…」
 私がキッチンに入ろうとした時、
 「咲羅は本当に、俺の事が好きなの?」
 涼に腕を掴まれ、真剣な眼差しに息を呑む。

 「当たり前じゃない。どうしてそんな事、聞くの?」
 「流した涙に、本当に、後悔の気持ちは無かった?」
 「無いよ!そんなの…無いよ」

 涼に気持ちを分かって貰えず、思わず口調が強くなった。
< 55 / 114 >

この作品をシェア

pagetop