どちらとの恋を選びますか?【後編】~同期は独占欲強めな溺甘御曹司でした
 電車の扉が開くと、直ぐに降りる私が、扉の近くに立って、後ろに夏目君がいる。
 いつもと同じ光景なのに、恥ずかしくて、緊張するよ…
 
 今まで気付かなかった気持ち…
 もしかして、隠してきたのかな…

 あれこれ考えて、答えが見つからないまま、夏目君と話すこと無く、電車に揺られる。

 駅が近づき、バッグを持ち直して、
 「じゃあ、また月曜日にね…」
 夏目君に、いつものように声を掛け、扉が開いて歩き始めようとした瞬間、腕を掴まれた。

 振り向くと、夏目君の寂しそうな目に見つめられて、動けない。

 「夏目君…」
 「春風…」
 夏目君は、その後の言葉を呑んだ。

 「ご、ごめん。またな」
 手が離れても、腕に熱が残ってる。

 ずっと見つめる夏目君から、目が離せない…
 そして…扉が閉まり、電車は再び動き出した。

 「…降り…そびれちゃった」

 照れる私に、夏目君は微笑んで、大きな手が、そっと私の手を包み込んだ。
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