どちらとの恋を選びますか?【後編】~同期は独占欲強めな溺甘御曹司でした
 「俺んち来ない?」
 耳元で囁く声に頷くと、ぎゅっと手を握り締めてくれた。

 2人は話をするわけでも無く、電車に揺られる。
 ふと手が離れたかと思うと、腰に手が回り、揺れる電車で私がふらつかないように支えてくれた。

 「ありがとう…」
 「すぐ着くからな。少し我慢しろよ」
 「うん…」
 私が夏目君を見つめると微笑んで、外を眺めていた。

 優しい横顔と温もり…
 ドキドキが…止まらない…

 2人が次の駅で降りると、
 「あのさ…ちょっとコンビニ寄るから、ここで待ってて」
 そう言って、1人でコンビニに入って、買い物を終えた夏目君は、少し頬が赤い気がする。

 「何、買って来たの?」
 「あぁー、えっと、飲み物と食べ物と色々…なっ」
 陽先輩しか知らない無知な私は、夏目君の優しさを知る事もなく、そのまま一緒に歩き出した。
< 7 / 114 >

この作品をシェア

pagetop