どちらとの恋を選びますか?【後編】~同期は独占欲強めな溺甘御曹司でした
 ロックを外して、携帯を先輩に渡すと、席を離れ、どこかに電話して直ぐに戻って来た。

 「ありがとう。もう、行くよ。いいな、俺を悪い男にさせるなよ」
 「うん…お幸せに、陽先輩」

 涼への好きとは違うけど…
 陽先輩は、私が1度は愛した人だから。
 やっぱり少し複雑だな…
 あの時、別れていなかったら、陽先輩の隣に私がいたのかなって…
 今とは違う人生を、歩んでいただろうな…

 「咲羅…これが最後だ」

 片手で私を軽く抱きしめて、
 「約束だぞ…幸せになれよ」
 背中をトントンと叩くと、頭を撫でて、入り口に向かった。

 そして、会計を済ませてから、もう一度こっちを向いて手を振ると、店を出て行った。
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