どちらとの恋を選びますか?【後編】~同期は独占欲強めな溺甘御曹司でした
 待合室で待っている時、涼は、妊婦さんを見ていた。
 「咲羅もあんなにお腹が大きくなるのか…お腹触ってもいい?痛くない?」
 「うん、大丈夫だよ」
 「お父さんだって…ここに、俺達の子がいるんだな。俺、感動したよ」
 お腹を撫でながら、微笑む涼を見ていると、こっちまで嬉しくなる。

 車に乗ると、涼が急に真剣な顔つきに変わった。
 「咲羅…俺、今から父さんの家に行くから、咲羅は家で待ってて」
 「私も一緒に」
 「咲羅には負担が掛かる。それに…今の俺は冷静でいられない。そんな姿を見て欲しくないんだ」

 そして、車で家の前まで送ってくれて、
 「行ってくる」
 軽くキスをした後、お腹を撫でて、私が降りると、涼は実家に向かった。

 涼…
 認められなかったら、会社を辞めるって言ってた。
 そして、今回のお見合いには、敦子さんが絡んでいると…
 あの時見せた、涼の憎悪の表情と空気感…

 お母さんをとても大切にしている涼は、きっと、お父さんのことも敦子さんのことも、許していない。

 今のままでは、きっと、誰も幸せになれない。
 この子は、皆に祝福されて欲しい。

 私はタクシーを呼んで、涼の実家に向かった。
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