どちらとの恋を選びますか?【後編】~同期は独占欲強めな溺甘御曹司でした
 その時、インターホンが鳴った。
 「ご、ごめんなさい」
 敦子さんが玄関に行って、戻って来ると、その後ろから、咲羅が入って来た。

 「咲羅…どうして来たんだ…」
 「涼のことが心配で…」
 咲羅は、俺の顔をじっと見つめて、涙を流していた。

 「もう…苦しまないで…私は大丈夫だから」
 咲羅は俺に近づき、そっと抱きしめた。
 「帰ろう…2人の家に…」

 俺の背中を優しく撫でた後、敦子さんに向かって話し出した。
 「敦子さん、涼さんとは結婚の約束をして、私のお腹には2人の子供がいます」

 頬笑みながら、ゆっくりとお腹を撫でる咲羅を見ると、怒りが収まっていく。

 「頼り無いかも知れませんが、涼さんを支えて、大切な会社を守っていく覚悟はあります。ですから、今回のお見合いは断っていただけないでしょうか」

 咲羅は、頭を下げていた。

 「本当にごめんなさい。2人を引き裂くことなんて考えてないの。縁談の話を進めた後に、2人の事を知ったから。それに、そんなに深く愛し合ってることも…許してね…」
< 92 / 114 >

この作品をシェア

pagetop