どちらとの恋を選びますか?【後編】~同期は独占欲強めな溺甘御曹司でした
 閉じようとした時、誌面の端に、桜の満開な写真が載っていた。
 『日本は恋しくないですか?』
 『海外生活も慣れましたから。帰るとずっと日本に居たくなりますけどね』
 『今、日本に帰るとしたら、何かしたい事はありますか?』

 先輩のインタビュー記事を読んでいると、
 「咲羅、お待たせ。行こうか」
 支払いが終わった涼に、声を掛けられ、
 「ねぇ、少し買い物に行きたい」
 私は途中で、その本を閉じて元の場所に戻した。

 「ゆっくり行こうか」
 私を支えてくれる涼と、手を繋いで歩いて病院を出た。

 そう…閉じた本のその続きに綴られている言葉を見ることなく…

 『そうですね…大好きな桜を見たいですね。私にとっては色々な思い出がありますので』
 『それはどんな思い出ですか?読者は凄く興味があると思いますが』
 『もちろん、それは秘密です。私だけの大切な思い出ですから』
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