結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
1 王子の秘書官
「セアラが好きなんだよ」
普段から私をいじめて楽しんでいる腹黒王子、ジョシュア殿下がケロッとした様子でそう告げた。
この冗談はこれで2回目だ。
呆れたため息とともに、私は殿下を見上げて冷静に返事をする。
「……殿下。前から思っていましたが、女性にそんな冗談を何度も言うのはよくありませんわ」
「冗談じゃないけど」
「なら悪ふざ──」
そこまで言ったとき、ジョシュア殿下の顔が近づいてきた。
触れてしまいそうなほどの近い距離で、殿下の黄金の瞳と目が合う。
「悪ふざけでも冗談でもない。本当に俺はセアラが好きなんだ」
「…………」
作られたような微笑みも嫌味っぽい笑みもない、真剣な表情のジョシュア殿下。
でも、それに騙されたりはしない。
殿下……本当にどうしちゃったの?
いったい何を企んでいるの?
私は疑わしい目でジッと殿下を見つめ返した。
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