結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
16 名前も知らない初恋の男の子
「ふぅ……」
自分のベッドにゴロンと横になり、懐かしい天井を見上げる。
もう夜も遅い時間になってしまったため、今夜はこのまま実家に泊まって明日の朝早くに王宮に帰る予定だ。
フレッド王子を見送った後、一気に疲れが押し寄せてきた。
……結局、あの教会に行ったかどうかは聞けなかったなぁ。
思い出の男の子と似ていると思いながらも、確信を得るための質問はできなかった。
どこかスッキリしない気持ちを抱えて、ボーーッとベッドに体を預ける。
「でも、もしあの男の子がフレッド殿下だったとしても、今さら何を話せばいいのか……」
そう呟きながら、そっと重い瞼を閉じる。
意識が薄くなっていく中、頭の中にはあの古い教会が浮かんできた。