結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

「!!」


 男の子は私がすぐ横で立ち止まると、ビクッと肩を震わせた。
 前髪で目が隠れているため、私を見たのかどうかはわからない。



 ……なんでここに男の子が?



 この教会はまだ一般市民に解放していないはず。
 身なりからして、平民の子が忍びこんだとも思えない。



 お父様のお知り合い? ……の子ども?



「ねぇ……」


 そう声をかけようとした瞬間、入口からガタッと大きな音が聞こえた。
 なんの音かと従者がキョロキョロと辺りを見回している。


「何……?」

「おい!」

「!」


 気を取られていた私に向かって、男の子が小さな声を出した。
 入口までは少し距離があるため従者には聞こえていないだろう。
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