結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「君、いつもいるね。毎日来てるの?」
「週に1回だけだ」
「じゃあ私と同じだね」
男の子はいつも真顔でどこか冷めたような態度だったけど、私が質問をしたら必ず答えてくれたし隣に座っても嫌がらなかった。
可愛がられて愛されることに慣れていた私にとって、その男の子の態度は新鮮で楽しかった。
「今日はクッキーを持ってきたよ」
「お前の菓子は甘いから嫌いだ」
「そうかなぁ? 甘くて美味しいのに」
「舌がバカなんだな」
「ひどいな〜もう!」
ほんっとに口も態度も悪いんだから!
「じゃあ今度は甘くないお菓子持ってくるね!」
「…………」
「何?」
男の子は何か言いたそうに口を少しだけ開けて、こちらに顔を向けた。
長い前髪の隙間からたまに目が見えるときもあるけど、一瞬なのでハッキリとは見えない。