結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
ドロシーは急に声を小さくして、周りに聞かれないようにコソコソと話してきた。
廊下の真ん中にいた私たちは自然と端っこに寄り、顔を近づけて会話を続ける。
「やけにイライラした様子で陛下のところへ行ったと思ったら、今度はガックリと肩を落として戻られて」
「……陛下に何か言われたのかしら?」
「きっと、マーガレット殿下の思惑とは反することを言われたのでしょうね。……実は、私はそれにセアラ秘書官が関わっているのではないかと思っているんです」
「えっ? 私が?」
ドロシーは真面目な顔でコクコクと頷いている。
私が? と驚いてみたものの、正直私には思い当たることがあるためつい目が泳いでしまう。