結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「言われてみればセアラの鼻が赤くなってるね。ごめん。怪我をさせていたなんて気づかなかったよ」
 
「い、いえ。け……怪我なんていうほどでは……」
 
「俺のせいだ。きちんとケアさせてくれ。大丈夫。カシール国の塗り薬なら、すぐに良くなるから」


 
 カシール国の塗り薬!?
 それって、あのとっっってもヒリヒリして痛いと騒がれていたものでは!?


 
 申し訳ないような顔をしていたジョシュア殿下の口角が、ニヤッと上がったのを私は見逃さなかった。


 
 やっぱり!!


 
「いえ。私にそのような大層なものは必要ございません。もう鼻も痛みませんし、大丈夫です!」
 
「それじゃ俺の気持ちがおさまらないよ。セアラは大事な秘書官なんだから、ちゃんと責任を取らせてくれ」
 
「…………」


 
 何が大事な秘書官よ!
 あの薬で痛がる私を見て楽しみたいだけよね!?
< 12 / 318 >

この作品をシェア

pagetop