結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「なんの用?」
ジョシュア殿下はそんな王女の反応を無視して、ニコニコしながらも冷たく問いかけている。
ムッとした様子のマーガレット王女と喧嘩が始まるかと思ったけれど、意外にも王女は冷静にその問いに答えた。
「本当にかわいくないわね。私はセアラに用があってきたのよ」
「じゃあ、セアラになんの用?」
「あなたに言う必要はないわ」
「あるよ。セアラは俺のだからね」
俺の!?
堂々と言い放つジョシュア殿下を、呆気に取られた顔で見つめるマーガレット王女。
同じく頬を引き攣らせている私をチラッと見た後、王女は口元をヒクヒクさせながら殿下に視線を戻した。
「そんな態度だからあなたは……って、もういいわ。とにかくセアラを借りるわね」
そう言うなり、王女が私の腕を掴んで歩き出す。