結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

「セアラ。まだ間に合うわ! あなたの書類を妃候補の中に戻すのよ!」

「え? でも、戻したところで何も変わらないと思いますが……」

「ジョシュアがあなたを選ぶかもしれないじゃない!」



 殿下が私を選ぶ?



「それはないですよ」

「どうしてそう言えるの!?」

「だって、殿下にとって私はただの部下であって女ではないですから。私が候補に入っていたら、きっと嫌がると思います」

「そんなことっ──」

 
 ガチャ!!

 
「!!」

 
 そのとき、部屋に響き渡るほどの大きな音を立てて扉が開けられた。
 扉の奥には、笑顔を作ることすら諦めたような冷たい表情をしたジョシュア殿下が立っている。

 
「で……殿下?」
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