結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「セアラだから特別に俺が塗ってあげるね。メイドに持ってくるよう頼んでおくから、朝食を終えたらすぐに俺のところに来て」

 
 ニコニコしているジョシュア殿下はとても機嫌が良さそうだ。


 
 殿下にやってもらったら、どれだけ大量に塗られるか……想像するだけで恐ろしいわ。
 せめてそれだけは回避しないと!


 
「いえ。それならば救護室で塗ってもらいま──」
 
「いいから来い」

 
 麗しく微笑む王子から出たとは思えない、強い口調。
 こんなにキッパリと命令されてしまっては、もう私の答えは1つしかない。

 
「……はい」

 
 ジョシュア殿下は私の返事を聞いて満足そうに頷いた。


 
 あ、悪魔……!!
 他に人がいないと一瞬で本性を出すんだから!
 ああ……クア草だけでなくカシール国の塗り薬まで塗ることになるなんて……。
 今日は本当についてないわ。はぁ……。
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