結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「それが、どうかし──」
「それに、俺にとってセアラは部下であって女じゃないとも言ってたね。それって、セアラにとっても上司の俺は男じゃないってこと?」
……この質問は何?
普段なら何も考えずに「はい」と答えられる質問なのに、なぜかハッキリ答えてはいけないような空気を感じる。
ジョシュア殿下が否定を望んでいるのがなんとなく伝わってくるからだ。
どうしよう……ここは「いいえ」って答えたほうがいいの?
でも、別に「はい」と答えても問題はないわよね?
実際に私と殿下はただの上司と部下の関係で、そこに男とか女とかはないはずだし。
チラッと殿下の表情を確認してみる。
冷めた瞳で私を見下ろす殿下からは、どんな感情なのかが読み取れない。