結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「殿下。私は真面目に話していたんですよ?」
「俺だって真剣に言ってるんだけど」
「どこがですか!」
「あれ? 信じてないの?」
「…………」
信じられるわけないけれど、それをハッキリ言ってしまっていいのか悩む。
この笑顔に騙されて失礼な発言を繰り返せば、あとで必ず倍返しされてしまうのだから。
まったく……そんな聞き方されたら、ウソでも信じてるって言うしかないじゃない。
「殿下が私を『女』として見ていたことは信じます(棒読み)」
「絶対に信じてないだろ」
「……わかっているなら聞かないでください」
ムッとした私の顔を見て、なぜか殿下も不機嫌そうな顔をしている。
私をからかって怒らせたときはいつも楽しそうなのに、そんな様子は微塵も窺えない。