結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
3 妹の私が秘書官になった理由
「Aセットでお願いいたします」
食堂へやってきた私は、カウンターに立っているメイドに朝食プレートを注文した。
王宮の中にはここで働いている人が利用できる食堂があり、どの時間に来てもきちんとした食事がとれるようになっている。
私は手渡されたプレートを持って、空いた席に座った。
はぁ……昼食は殿下に用意されたクア草のサラダを食べなきゃいけないのね。憂鬱だわ。
それなら昼食を抜いて……ってダメね。
あの殿下のことだもの。きっと私がちゃんと食べたのか調べるに決まっているわ。
「はぁ……」
「おはようございます、セアラ秘書官。ため息なんてついてどうかされたのですか?」
「ドロシー……おはよう」
一人で食事をしていた私の隣に、ドロシーが座る。
彼女は王宮で働いている王女付きメイドだ。
侯爵家のご令嬢で、私よりも年下だけど慕ってくれているのかよく話しかけてくる。
栗色の毛を三つ編みにした、可愛らしい女の子だ。