結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
綺麗に整った殿下の真剣な表情が、だんだんと呆れたように歪められていく。
「……ここまで言っても信じないの?」
どうやら、私の様子でまったく信じていないことが伝わったらしい。
きっと普通なら頬を赤らめるような場面で、険しい顔をしていたからだろう。
でも、それは仕方ない。
今までの殿下の言動を振り返ってみても、思い当たる節は1ミリもないのだから。
「殿下。殿下がそういう作戦でこの妃候補決めから逃げようとしているのはわかりました」
「違うけど」
「ですが、私も負けません! 絶対に候補の方を決めていただきますからね」
「…………はぁ」
こちらが気合いを入れて宣言しているというのに、なぜかジョシュア殿下は天井を見上げてため息をついた。
作戦がうまくいかなかったことを残念に思っているのかもしれない。