結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
いくら私が男性との交流に免疫がないからって、そんな簡単に騙されたりはしないわ!
まぁ……少しは……ドキドキしてしまったのも事実だけど。
疲れきった様子のジョシュア殿下を横目でチラリと見る。
憂鬱そうに前髪をかき上げ頭を押さえたその姿が、やけに色っぽい。
こ、これは仕方ないわよね?
こんな方がさっきまで私のほんの目の前にいたのよ!?
少しでも動けば、お互いの顔に触れてしまいそうなほど近い場所にあった殿下の顔。
その綺麗な瞳が今でも頭から離れない。
うう! 思い出しただけでも恥ずかしいわ!
先ほどまでは冗談を言い続ける殿下に苛立っていたため普通にしていられたけれど、今になって急に心臓が速くなってきた。
顔も赤くなっている気がする。
こんな顔、殿下に見られないようにしなくちゃ!
私はジョシュア殿下から顔をそらしながら、なんとか部屋から出て行った。