結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「で、で、で、殿下ぁ……お、驚かさないでください」
まだバクバクする心臓を押さえ、私は涙目で殿下を見上げた。
「別に驚かせてないけど。セアラが勝手に驚いたんだろ?」
「そうですが……」
ジョシュア殿下はスタスタと自分の机に向かい、数枚の紙を手に取った。
おそらく寝る前に寝室で少し仕事をするつもりなのだろう。
そのまま出て行くと思ったのに、殿下は振り返って私を見た。
「それより、夜会がどうとか言ってなかったか?」
「あ、はい。今度の夜会に参加してみようと思いまして」
「そうか。却下だ」
「実は……って、ええ!? 却下って! 私個人の予定ですよ。殿下の付き添いで参加するわけではないですから」
「余計に却下だ」
なぜ!?
そう叫びたいのを我慢して、私は口をつぐんだ。