結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
本当に!?
これまで参加した王宮のパーティーでは、こんなドレス見たことがないわ。
焦っている私と違い、母も侍女たちもニコニコと微笑んでいる。
「仮面舞踏会は顔を全部出さないでしょう? だからみんな解放的になるのか、派手なドレスを着ている方が多いのよ」
「それでも、これは派手すぎるような……」
「これくらいでいいのよ」
「…………」
さっきからそればっかり!
こんなドレスで行って浮いたりしないかしら……。
鏡に映った自分に不審な目を向けていると、侍女が黒いレースのついた仮面を差し出してきた。
顔の上半分だけを隠してくれる形だ。
この仮面をつけるのね。
……たしかに、これをつけるのであれば恥ずかしさが半減するかも。