結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「さあ。馬車を用意してあるわ。もう行くのでしょう?」
「ええ。ありがとう、お母様」
もう焦っても仕方ないわ。
今日はセアラ・バークリーという名を忘れて、ただの1人の令嬢として仮面舞踏会に臨みましょう!
今回の目的は、例のご令嬢たちに会ってお話しすることなんだから……って。
「ああっ!?」
「どうしたの?」
「い、いえ。なんでもないです」
笑顔でごまかしながら馬車に乗り込む。
母は不思議そうな顔をしながらも、手を振って見送ってくれている。
そんな母に手を振り返した後、出発した馬車の中で私は頭を抱えた。