結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

 女性は艶かしい笑みを浮かべると、颯爽と会場の真ん中に歩いていった。
 一瞬にして男性に囲まれたのが見えて、思わず声が漏れる。

 
「まぁ……すごいわ」


 
 あんなに堂々とこの会場の中央に進んでいけるなんて、余程自分に自信がある方なのね。
 王妃となる方にもあのくらいの度胸が必要なのかも。
 
 ……でも、あまりこういう場に慣れた方はちょっと……と思ってしまうのは、私が夜会慣れしていないからかしら。


 
 偏見は良くないけど、王妃様──ジョシュア殿下の妻となる方は、できるだけ清純清楚な方がいいと思ってしまう。


「でも、そうなるとこの仮面舞踏会に参加されている時点でダメなのでは?」

 
 うーーん……と一人唸っていると、少し離れたところからこちらに向かって歩いてくる人物が見えた。
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