結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「ジョシュア殿下こそ、どうしてこちらに? この仮面舞踏会には参加しない予定だったのでは?」
「質問をしているのは俺だよ?」
「……っ!」
ニコッと笑うジョシュア殿下の目が、まったくと言っていいほど笑っていない。
これは殿下の中でも結構機嫌が悪い状態だ。
殿下、すごく怒っていらっしゃるわ!
「俺は夜会には行くなと言ったはずだけど、なんでいるの?」
「も……申し訳ございません」
「俺の言うことを無視してまで、会いたい人でもいた?」
「……はい」
「!」
正直に答えたあと、ジョシュア殿下を纏うオーラが一瞬でピリピリッと凍りついた。
ここに小動物でもいたなら、身の危険を感じてみんな一目散に逃げ出していたことだろう。
ああ……私も今すぐここから逃げたいわ。