結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
でも、なんで!?
なんで私が会おうとした人を追放するの!?
「それはおやめください!」
「冗談だって言ってるだろ? それに、その相手が誰かまだ教えてもらってないんだけど」
「そんなことを言われたら余計に教えられません!」
この国の由緒正しいご令嬢たちを追放させるわけにはいかないわ!
ジョシュア殿下は目を細めて私を見据える。
「そんなに大事な男なのか?」
「…………男?」
キョトンとした私を見て、ジョシュア殿下の黒く重い空気が少しだけ緩んだ。
「……男じゃないのか?」
「……違いますが」
「…………」
「…………」
え? 殿下は私が夜会で男性に会うと思っていたの?