結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
同じくらい目を丸くしているジョシュア殿下は、改めた様子で再度同じ質問をしてきた。
先ほどとは違い、空気が軽くなっている。
「じゃあ、誰に会おうとしていたんだ?」
「追放しませんか?」
「ああ。男じゃないならね」
……なぜ男性だと追放するのよ。
そんな疑問は胸にしまい、私は正直に答えることにした。
相手は女性だから追放される心配はなさそうだ。
「候補のご令嬢たちにお会いしたかったのです」
「ご令嬢?」
「はい。殿下の妃候補になる方々の性格面も知っておきたかったので、夜会に行けば会えるかと……」
「…………」
仮面越しに見えるジョシュア殿下の瞳は、ずっと丸くなったままだ。
あのジョシュア殿下がポカンとして立ち尽くしている。