結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
……どうしたのかしら?
そんなことで俺の命令を無視したのか? って言われると思っていたのに、呆然としているみたいだわ。
「セアラが俺に隠れてまで夜会に参加しようとしたのは、妃候補の令嬢に会いたかっただけ?」
「? はい。そうです」
そう私が答えた瞬間、ジョシュア殿下は自分の口元を手で隠しプイッと顔を横にそらした。
目元は仮面をつけているし、口元は隠されている。
今ジョシュア殿下がどんな顔をしているのかは見えないけれど、心なしか耳が少し赤くなっている気がする。
「……殿下?」
「こっち見るな」
「???」
見るなと言われたなら見るわけにはいかない。
私は首を傾げながらジョシュア殿下から視線を外した。